通勤途上や休憩時間にイヤホンで音楽を楽しむ人は多いと思いますが、使う際に面倒なのがコードの扱いです。カバンやポケットに無造作に突っ込んだままだとコードが絡んでしまい、イライラする場面が少なくないのです。無理にほどこうとすれば、断線など故障の原因にもなりかねません。なぜカバンの中のイヤホンコードは絡みやすいのか?絡みをうまく防ぐ効果的な対処法はあるのか? イヤホンコードにまつわる数学的理論や商品の最新事情について調べてみました。イヤホンコードはなぜ絡む 効果的な対策は?「結び目の理論」を説明する埼玉大学大学院教授の下川航也さん
長いひもほど絡みやすい、「結び目の理論」で証明。「実はイヤホンのコードが絡むことは極めて自然であることが数学的に証明されているんですよ」――。埼玉大学大学院理工学研究科教授の下川航也さんが解説してくれました。「ひもの結び方がどれくらいあるか」などの問題は数学の分野だと「結び目理論」と呼ばれていて、100年以上の歴史があるというのです。日本は世界でも知られた研究者を輩出しているそうです。ここで注目したいのは「容器の中に十分に長いひもが入っていると結び目ができている確率は高く、さらにひもの長さが長くなるほどその確率は100%に近づく」ということです。サムナーズとウィッティントンの定理などといわれ、すでに数学的に証明されているのです。原因は自由度、逆にひもが短いと結び目は作れません。逆にひもが短い場合は、結び目ができにくくなるらしいのです。「たとえば太さが1センチのひもだと、15.66センチ以上の長さがないと結び目を作ることはできない」という定理もありmさう(デンヌとサリバンとディアオの定理)。つまり、太さが数ミリで長さが1メートル程度もあるイヤホンは、数学的にも結び目がとてもできやすいというわけです。